WP#65 - データセンターのエアフロー管理 計算ツール

22 July, 2015 | White Paper

編集者: Ted Brown, Seattle City Light Bob Landstrom, Interxion 寄稿者: Christa Ansberg, Google Victor Avelar, Schneider Electric Stephen Bryant, Schneider Electric Wenshu Fan, Nexant Consulting Magnus Herrlin, ANCIS Incorporated Michelle Lichtenfels, PECI Jessica Rose, Energy Trust of Oregon Ian Seaton, Chatsworth Products Inc. Enrique Castro-Leon, Intel Lars Strong, Upsite Technologies Eloise Young, Philadelphia Gas Works

近年、国内的にも国際的にも、電力事業をめぐって、データセンターの莫大なエネルギー消費量を懸念する声が上がっています。米国の場合、データセンターの電力使用量は、国内総電力使用量の約2%と試算されています1。データセンターをはじめとする高密度のIT環境は、エネルギーのエンドユーザーとして成長を続けており2、電力事業ポートフォリオの中で最も集中的にエネルギーを使用する施設のひとつです。

データセンター施設における効率的なAFM(Airflow Management、エアフロー管理)プラクティスの実践は、ファン電力の削減、機械冷却設備の効率化、そしてエコノマイザーによる「フリー」クーリング時間の増加への可能性を切り拓く鍵です。冷気を暖気から切り離すコンテインメント(囲い込み)アイルやブランクパネルなど、AFMの改善に向けた簡単な対策によって、効率的な温度管理の実現だけでなく、冷却システムのパフォーマンス改善、データセンターのエネルギー効率の向上、既存のデータセンターで浪費されていた容量の再利用が可能になります。

AFMベストプラクティスの重要性と利点については、アメリカ暖房冷凍空調学会(ASHRAE)や米国エネルギー省(US DOE)などの文書でまとめられています。こうした努力およびAFMの改善を支援するために電力事業者が実施するインセンティブプログラムが増加しつつあるにも関わらず、AFM対策によって実現可能な省エネ効果を定量化する、普及可能な手法は、まだ開発されていません。

多くの電力事業者が、エネルギー効率プログラムの一環として、データセンターを対象とした効率インセンティブの提供に強い関心を示しています。電力事業者がインセンティブプログラムを実施するには、AFM対策によって生じる省エネ効果について、信頼に足る試算値を導き出す、独自の技術計算が一般に必要です。ところが、小~中規模のデータセンター(750 kW以下の重要負荷を前提とする設計)では、電力事業者のインセンティブを受けるために、外部の専門家に依頼して省エネ対策の評価、提案、投資回収(ROI)計算を行うのは、費用対効果の面からしばしば現実的ではありません。そのため、こうした形でエネルギー効率化の可能性が追求されることがほとんどありません。

グリーン・グリッドは、Power Usage Effectiveness(PUE)指標や、グリーン・グリッドのデータセンター成熟モデル™(DCMM)の開発を通じて、データセンターにおけるエネルギー効率の向上を支援しています。エネルギー効率をさらに前進させ、データセンターの成熟度を高め、電力事業者からインセンティブを獲得するためには3、全世界のデータセンターおよび電力業界で広く受け入れられるような、エネルギー効率に関する計算ツールが必要です。

AFMの潜在力を評価するため、一般に出回っているツールにはかなりのバリエーションがあります。このホワイトペーパーでは、現時点で公開されている主要なソフトウェアツールおよび計算ツールを評価し、電力事業者のインセンティブに対応するエネルギー節約量の試算という観点から、各計算ツールの強みと弱みを明らかにします。さらに、このホワイトペーパーでは、電力事業者およびデータセンター業界のニーズを満たす計算ツールの要件も定義します。これらの要件を満たす計算ツールが開発されれば、電力事業者によるサポートがさらに増加し、AFMのベストプラクティスを強力に推進できるようになります。