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WP#63 - フリーパワークォリティ
「フリーパワークォリティ (Free Power Quality: FPQ)」の概念は、「フリークーリング」に通じるところがあります。グリーン・グリッドがフリークーリングの説明に努めて支持を表明したことで、データセンター業界では効率的なクーリング技術の採用が加速されています。グリーン・グリッド会員企業(および広い範囲のデータセンター関係者)は、フリーパワークォリティについても、フリークーリングと同じように、設備のエネルギー効率を高める機会として認識する可能性があります。
エンドユーザーからは、電源品質(パワークォリティ)機器ベンダーの革新を求める声が強まっています。従来のデータセンター機器やその適用の限界を脱却することを、エンドユーザーは望んでいます。効率の低い機器でデータセンターに対して過度のプロビジョニングを実施するのは、もう止めたいと考えています。
今日のデータセンターの多くは、UPS(無停電電源装置)システムを使用することで、きわめて高度な電源品質を達成しています。しかし、効率や機器コストの観点で考えると、その品質は高いコストとの引き換えです。したがって、UPSが作り出す高度な電源品質を引き下げ、機器の使用を止め、データセンターの入り口で得られるものを利用するようなソリューションが、1つのアイデアとして浮上します。データセンターの入り口で得られる一定の電源品質を利用すると言っても、データセンターからUPSが完全に姿を消すという意味ではありません。ただし、FPQを採用した場合、従来のデータセンターの電源構成は、独特な新しい形に変わります。運用面でのニーズを確実に満たしながら、総所有コストの削減や、効率の向上につながるような電源構成です。電源品質の確保に対する今までとは違った方策をユーザーが受け入れるかどうかは、電力の信頼性、連続運用、電源品質、電力裁定取引などといった検討事項に対し、そのソリューションが必要なレベルのパフォーマンスを本当に提供できるのか、ユーザーがどう認識するかによって決まります。
フリークーリングとの類似性は、単なる出発点に過ぎません。このホワイトペーパーでは、電力事業者が供給する電力の品質について、どのようなことが判明しているかを調べた文献調査の結果を要約します。まず、フリーパワークォリティとは何を意味するか、明確に説明します。次に、使用可能な電力を利用して、データセンターの電源構成における電力変換ステージの数を最小化し、必要な信頼性を保ちながら、効率を最大化することの実現可能性について、詳しく検証します。さらに、フリーパワークォリティをとりまく機会と課題を明らかにします。